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  • コンクリートの初期ひび割れ対策

    発行日:

    2012/3/8

    出版社:

    セメントシャーナル社  編集・制作:インターメディアリー

    寸 法:

    257mm×180mm×10mm

    頁 数:

    128ページ

    著 者:

    編著:十河茂幸・河野広隆  著:今本啓一・閑田徹志・溝渕利明

    定 価:

    2625円(税込)

    ISBN:

    ISBN978-4-915849-67-1

  •  コンクリート構造物の建設中、または建設後の早い時期に発生する「初期ひび割れ」について、基本的な知識から最近の研究成果までを、まとめました。
    初期ひび割れの典型である「温度ひび割れ」「乾燥収縮ひび割れ」を中心に、ひび割れ発生のメカニズムや解析、制御方法などを解説。併せて、施工段階でのひび割れ対策、ひび割れ対策のコスト評価などの項目も盛り込み、コンクリート構造物の設計者や施工監理者、実務担当者など、ひび割れ対策に頭を悩ます実務者の役に立つ一冊です。

     

    発売元:セメントジャーナル社のサイトはコチラ

      


    主な内容

    第1章 初期ひび割れの種類
      1.1 劣化によるひび割れと初期ひび割れ
     1.2 設計段階で配慮が必要なひび割れ
     1.3 材料選定・配合設計に起因するひび割れ
     1.4 施工時に生じるひび割れ 1.5 供用中に生じるひび割れ

    第2章 施工・施工管理でひび割れを防ぐ
     2.1 設計図書の意図を理解する
     2.2 施工の時期や気温で対応を変える
     2.3 材料の選定と配合計画で対応(生コンに対する配慮)
     2.4 運搬・打込み・締固めの留意点
     2.5 打込み中の養生も重要
     2.6 仕上げのタイミングがポイント
     2.7 型枠を外すタイミングに注意
     2.8 型枠を外したあとの養生
     2.9 乾燥防止でひび割れを防ぐ

    第3章 温度応力によるひび割れを防ぐ
     3.1 温度ひび割れが生じやすい構造物
     3.2 温度ひび割れの発生メカニズム
     3.3 セメントの水和熱によるコンクリートの温度上昇
     3.4 温度応力の解析
     3.5 解析結果の評価 -ひび割れ発生確率について-
     3.6 温度ひび割れの制御方法

    第4章 乾燥によるひび割れを防ぐ
     4.1 乾燥によりひび割れが発生するメカニズム
     4.2 ひび割れを大きくする拘束体の影響
     4.3 乾燥環境に曝される構造物
     4.4 乾燥収縮に及ぼす材料要因
     4.5 乾燥収縮に影響する部材寸法
     4.6 乾燥収縮ひび割れを制御するには
     4.7 各種要因の重ね合わせによるひび割れの発生
     4.8 収縮ひび割れが問題となる部材とひび割れ制御対策例

    第5章 ひび割れ対策コストを考慮する
     5.1 ひび割れ対策の効果とコスト
     5.2 ひび割れの発生による施工者の損害
     5.3 発生確率を考えた施工者の対策-リスクマネジメント-
     5.4 ひび割れ対策にかかる費用
     5.5 施工者としての合理的なひび割れ対策
     5.6 ひび割れが構造物に与える影響と対策コスト
     5.7 ひび割れ対策の効果

    資料編
     資料1 外部拘束温度ひび割れの解析事例
     資料2 温度応力解析における要素分割
     資料3 構造物の要求性能に応じたセメントの選別
    資料4 乾燥収縮ひずみの測定方法


    まえがき

     我が国でコンクリートを造り始めて 100年以上が経過していますが、いまだにコンクリートのひび割れが問題になっている現実があります。ひび割れは多様で、コンクリートの材料、配合、施工を原因とするものから、コンクリートの劣化に伴いひび割れが生じるものまで様々です。そうしたひび割れが制御できないかというと、技術的には可能なのです。基本的には、コンクリートが安価な建設材料であるため、ひび割れ対策に費用がかけられないのです。対策をせずひび割れが生じても、丈夫で長持ちしている構造物も数多くあります。結構大きなひび割れが入ったとしても、教科書のようには致命的な欠陥とはならず、放置しても崩壊などの大きな被害になることはほとんどないのが実情です。しかし、ひび割れは、見た目も悪く、専門外の人から見れば明らかに欠陥とみられます。 そこで、「コンクリートのひび割れがわかる本」を 2003年 7月に発刊し、多くの読者から好評を得ました。ひび割れを理解するための入門編としてはお役に立てたことに、著者一同安堵しました。その後、読者のなかに、さらに詳しい情報が欲しいとの意見もあり、今般、主に初期ひび割れを対象とした解説書を刊行することにしました。本書がコンクリートを活用する皆さんの参考となれば幸いです。


    ひび割れの責任の所在を明確に
     ベテランの技術者の中には「コンクリートにはひび割れが付き物だ」と豪語したり、「ひび割れが入らないコンクリートはない」とまで言い切る人もいます。これらの言動を正確に説明すると、「コンクリートは安価な材料であり、費用をかけない現状ではひび割れは避けられない」となるのでしょう。事実、多額の費用をかけてひび割れ対策を万全にして有害なひび割れを克服しようとした事例は、数多くはありません。おそらく、生じたひび割れを補修した方が安く済むに違いないと考えた結果でしょう。現実に、防止するより補修するほうが安く済むのが実態と言えます。 設計段階で対策を考えるより、施工後に処理するほうが安価であれば、事前に考えることはしないでしょう。また、たとえ事前に効率的な対策が検討できたとしても、自然環境の中での施工には、天候のリスクが伴います。事前対策が万全のはずでもひび割れが生じる例は少なくありません。つまり、施工後に対応するほうが効率的と考えざるを得ません。 かくして、ひび割れ対策は施工段階で考えられるようになり、ひび割れが生じた責任までも施工者に譲ることになりました。当然、設計や材料の選定、配合設計で対応することは重要であり、そうするべきですが、次第に最終的な段階を担う施工者が全ての責任を持たされることになったと言えます。ひび割れに対する責任の所在を、今一度考える必要があります。


    品質確保法の意図するところ
     2003年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、建物に生じるひび割れの責任は施工者(設計者を含む)に及ぶことになりました。建物の購入者はコンクリートに関する知識はあまりありませんから、購入者を法律で守る必要があることは当然です。しかし、有害とは言えない微細なひび割れまでもが問題視され、避けがたいひび割れまで施工者の責任とすれば、経済的な建設ができなくなります。過剰な場合は、ひび割れを補修するだけでは施主が満足せず、施工者に対して造り直しを要求する事態に発展することもあります。日本建築学会建築工事標準仕様書にコンクリートの収縮規定が設けられ、「ひび割れ幅 0.3 mmまでは有害とはいえない」とまで書き込む必要が生じたのは、施工者と建物の購入者の両者に対する明確な指標を与えるためです。品質確保法の施行により、施工者としては、ひび割れの補修費用を少しでも軽減するために、収縮の小さいコンクリートを指向するようになり、これが昨今の乾燥収縮率の規定に発展することになりました。 一方、土木工事においても、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され、ひび割れが生じた工事では施工者の工事成績が減じられ、過剰なひび割れ対策を検討せざるを得ない状況が生まれています。土木工事では専門家が発注側にいるので、ひび割れに対する理解は多少はありますが、設計段階でひび割れ発生の可能性を検討し、設計者と施工者の責任の分岐点を明確にすることが望まれます。


    技術提案の内容を精査する
     土木工事の多くは、公共工事として発注されますが、品質確保法の施行により、多くの工事でコンクリートの品質向上やひび割れの抑制が技術提案として示されるようになりました。しかも、たとえ補修で済ませる方が安価であっても、多くの場合、過当競争の中にあるにもかかわらず、技術提案に多大のコストのかかるひび割れ対策が盛り込まれるようになってきました。しかし、自然環境を相手にする土木工事では、ひび割れはそう簡単に制御できるものではなく、事前対策だけでなく、事後対策まで必要となり、ますます経費が増加することになっているのが実状です。従来は、施工管理費に補修費用を見込み、施工管理でできる範囲の配慮をして対応していましたが、事前の解析や、過剰な対策まで負担する場合が増えています。 本来は、材料の選定・配合改善などの範囲で費用をあまりかけない対策であるべきですが、「事前の対策がなければ品質確保の配慮が欠ける」との評価になれば、対応せざるを得ません。そこで施工者は、ひび割れ低減に効果的なセメントへの変更、骨材や混和剤の変更、膨張材の追加など、レディーミクストコンクリートの特注に伴う費用負担、解析にかかる費用負担、施工面の対策にかかる費用負担を強いられています。これらの対応は、本来はそれほど綿密なひび割れ抑制対策が必要でない構造物にまで適用され、しかもひび割れの発生が正確に予測できないことから安全率を高くとり、非常に無駄の多い方向に発展しているのが実態です。ひび割れに対する正しい理解を期待するところです。


    ひび割れの影響を正しく理解

     ひび割れが生じると、そのひび割れが有害である場合だけでなく、有害とは言えない場合であっても補修を求められることが多く、補修費用が発生しています。そして、その費用は施工者が負担をすることが多いようです。しかし、ひび割れの原因の中には、施工段階の対応だけでは避けがたいものもあります。そのため、土木学会のコンクリート標準示方書では、設計段階でコンクリートの特性を定め、それを満足するコンクリートを想定し、温度ひび割れの事前検討からひび割れの予測をすることとしました。これにより、施工者と設計者の責任の分岐点が明確になります。つまり、コストを抑えたひび割れ対策が、事後の補修だけでなく、事前の検討に盛り込まれることになります。このことにより、むやみに補修を求めるのではなく、許容ひび割れ幅を設定し、有害なひび割れの範囲を示すことが必要となります。 本書は、これまでの「どうしてひび割れが入るのか?」「どのような原因で入るのか?」といった原因の理解に重点をおいてきたこれまでの図書と異なり、初期ひび割れの対策に重点をおき、「ひび割れの予防」「ひび割れの予測」「ひび割れの無害化」などの視点で取りまとめています。設計、製造、施工などに携わる技術者の皆さんが、より詳しくひび割れを理解し、実務に生かしていただくための実務書としました。本書が読者の皆さんのお役に立つことを願ってやみません。

     

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