コンクリートの配合で、水セメント比が重視されるのはなぜですか? -コンクリートの配合設計Q&A 5-
Q:コンクリートの配合で、水セメント比が重視されるのはなぜですか?
A:水セメント比は、コンクリート1m3中の水とセメントの質量比であり、水とセメントの配合比を示します。
セメント粒子は、水と化学反応することにより繊維状の物質が発生し、これを水和生成物と呼びます。この水和生成物同士が絡み合って、固体の硬化組織が形成されます。したがって、ペースト中のセメント粒子の存在確率が大きい(=水セメント比が小さい)場合に、水和生成物間の空隙が少ない、密な硬化組織が形成され、大きい強度を示します。
このようなコンクリートは、空隙が少ないことから、CO2や塩素イオンの拡散による中性化や塩害、硫酸イオン等による化学的な劣化に対する抵抗性が大きくなります。また、組織が強固ですから、凍害による組織破壊に対する抵抗性も大きくなります。
さらに、水セメント比が小さいとブリーディング水の発生量も小さくなり、骨材粒子の下側等にブリーディング水が偏在することによる組織欠陥も抑制されるため、コンクリート強度の増大に寄与します。
したがって、強度と耐久性は、一見すると異なる次元の性能のように思われますが、いずれも硬化組織の性状に影響されることから、硬化組織の性状を決定づける要因である水セメント比が、両者を評価するうえで共通の指標として用いられています。
(この記事は、「コンクリートの配合設計と品質管理」に掲載されている「コンクリートに関するQ&A」の内容を再編集したものです)
2013.07.03
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